1年がすぎて
西国分寺・府中・武蔵境・三鷹・保谷・光が丘・板橋区役所前・向ヶ丘遊園・あざみ野・佐倉・大宮・小山、振り返れば候補物件はいくつかあった。
私は土地への拘りが全くないので、候補地はランダムであり各土地に共通点はあまりない。
そう、まるで遊牧民が定住地を探す旅をするかの如くワンダリングしていた。
当時物件選定において、大切にしていたのは尾﨑先生・実華子先生・私の3人が納得感をもって診療に取り組むことができ、その地域に一定以上の価値を提供できるかどうか、この二つを満たさないと最終的にステークスホルダーの誰かにしわ寄せが行くと考えていたからだ。
個人開業であり最終責任者は私であるとはいえ他2人のドクターは共同経営者・運命共同体である。
3人の個性、お土地柄を考えながら候補物件での診療風景の青写真を思い描き、ビジネスモデルを策定してステークスホルダーとの関係を考察し物件を評価する。
感情に左右されないように、ただただそれだけを考えていた。いや、考えているつもりだった。
正直とても悩んだ。
見学した時の2人の挙動が他の物件とはあまりに違い過ぎた。
尾﨑先生は年齢に似つかわしくない、柄に合わない少年のような屈託のない笑顔を見せた。
実華子先生はかつて二度だけ私に見せたことがある大脳辺縁系・新皮質隅々まで見通せる曇りの全くない透明な輝く瞳を見せた。
2人とは会話はしていない。でも分かったそこまで言うならここにしよう!
2人の個性が来院してくださる患者さんのために活かせるように自分が黒子となり頑張ろう。
気に入って通ってくださる患者さんを大切にし、自分ができる限りを尽くそう。
そして、日々グレードアップしてより良い価値を提供しよう。
一見さんでもその時対応可能なことを頑張ろう。
一緒に働いてくれるまだ見ぬ従業員とその家族の人生・価値観に寄り添えるような労働の場を提供しよう。
そのような心持で開業準備していたのを覚えているし、今も思いは変わらない。
ごちゃごちゃ能書きを垂れましたが、書き終わって自分が伝えたいことを要約できました。
場所ではない。
人を大切にしたいのです。
院長 長谷川 智啓