外科矯正について
矯正歯科治療だけでは十分な改善が見込めない骨格的要因によって生じている不正咬合の場合は、外科矯正でかみ合わせの改善を行います。
外科手術によって顎の骨の位置を移動させたり、顎の上下の骨のバランスを整えることでかみ合わせや歯並びを整え、口腔機能を改善します。
骨格的要因による不正咬合でお悩みの方や他院で矯正歯科治療のみでは改善が難しいと言われてしまった方など、外科矯正に関するお悩みがある方はお気軽にご相談ください。
顎変形症とは?
顎変形症とは、顎の骨の大きさや位置、形に問題があり、かみ合わせの異常や顔の変形・左右非対称などが生じている病態のことです。顎変形症の場合は、歯列矯正だけではかみ合わせを改善することが難しく、顎の骨を切り取ったり移動させたり顎の形の修正や移動のための外科手術が必要になります。
顎変形症は見た目の影響が大きいだけでなく、かみ合わせの不調による全身の健康への悪影響、発音の明瞭性への影響、日常生活での精神的苦痛などを伴う方が多い症状です。
外科矯正のメリット
- 骨格的要因による難症例の不正咬合でもかみ合わせを改善することができる
- 歯や歯槽骨などの歯周組織への負担を最小限に抑えることができる
- 症例によっては矯正治療の期間を短縮することができる
外科矯正のデメリット
- 全身麻酔を伴う外科手術なのでリスクが伴います
- 下歯槽神経やオトガイ神経の損傷による部分的なしびれや麻痺が手術後に生じる可能性もあります
- 外科手術のため検査や入院が必要です
- 術後は痛みや腫れなどのダウンタイムがあり、食事制限や発音の違和感など日常生活に支障が出る可能性があります
外科矯正の流れ
1初診相談
現在の歯並びやかみ合わせ、顎の状態をチェックし、外科矯正が適応かどうかの大まかな確認、現在のお悩みなどを伺い、外科矯正についての説明を行います。
2精密検査
レントゲンや歯型採取などの通常精密検査と、顎の運動記録、咀嚼筋の筋電図などで資料採得を行い、分析いたします。
3診断
精密検査の結果や分析結果に基づいて、外科矯正治療の方針や治療方法、治療期間・治療費用の目安、メリット・デメリットなどを分かりやすく丁寧にご説明いたします。
疑問や不安なことがありましたらお気軽にお尋ねください。
4口腔外科受診
手術に関しては入院施設を備えた、当院と連携した医療機関(大学病院)をご紹介いたします。矯正開始時、手術時など複数回受診いただく必要がございます。
5術前矯正治療
手術後に上下の歯並びがしっかりと咬み合うように、あらかじめ歯並びを整える治療を行います。手術までにかかる期間は通常1〜2年程度ですが、状態に応じて期間は前後します。
術前矯正治療は手術後の顎の状態に合うような歯並びに整えるため、手術前は一時的に歯並びやかみ合わせが悪くなったように感じることもあります。
6手術入院
連携医療機関の口腔外科と相談し、決定した手術日程に手術を行います。通常1〜2週間程度入院しますが、術後の状態によって前後することがあります。詳しい入院日数については口腔外科を受診した際にご確認ください。
7術後矯正治療
手術によって移動した骨の位置でしっかりかみ合うよう仕上げの矯正治療を行います。状態によって個人差はありますが、術後半年〜1年程度は術後矯正治療を行います。
8保定観察
歯並びが安定するまで、リテーナー(保定装置)を使用していただき、定期的にかみ合わせのチェックを行います。保定期間は2年程度で、来院頻度は1年に2~4回程度です。